第2回:死後の預金通帳の復元~なぜ隠し財産がバレてしまうのか~
預金通帳を解約したり現金化したりしても、その履歴は完全には消えません。相続が発生すると、亡くなった方の口座取引の記録が思わぬ形で浮上してきます。全3回シリーズの第2回では、金融機関に残る取引履歴の実態と、税務署がどこまで資金の流れを追跡できるのか、その驚くべき調査力について解説します。
解約していても履歴は消えない
相続が始まると、亡くなった方の預貯金のすべてが調査対象になります。
「解約しているから履歴は残っていない」と考えがちですが、実は銀行には10年分の取引履歴が保管されており、復元できる仕組みになっています。
相続人であれば、金融機関に申請して、亡くなった方の取引履歴を取り寄せることが可能です。
これにより、解約した口座でも、過去10年間の入出金の流れを把握することができます。
税務署の調査はさらに広範囲に及ぶ
さらに驚くべきは、税務署の調査権限です。
税務署は、亡くなった方だけでなく、相続人・家族全員の預金口座や取引履歴まで調査できます。
これは、国税通則法第74条の規定に基づくものであり、金融機関は税務署の求めに応じて、個人や法人の取引情報を提供する義務があります。
つまり、
- 亡くなった方から相続人への資金移動
- 法人から個人への送金
など、家族や法人を巻き込んだ資金の流れ全体が調査対象となります。
【事例】家族全員の通帳まで調べられたケース
C社の創業者が亡くなった際、税務署が調査に入りました。
個人名義の口座はすでに解約されていましたが、相続人である長男・長女の口座を調査した結果、過去数年間に渡って父親から多額の資金が送金されていたことが判明。
結果として、
- 長男名義の預金は名義預金と認定
- 父親の相続財産に加算
- 追加で相続税が発生し、過少申告加算税も課されました。
税務署は「お金の流れ」を一覧表にする
税務署は、相続人や家族の預金の増減を過去5〜10年分一覧表にして分析します。
これにより
- 誰の預金が減り、誰の預金が増えたのか
- 預金から現金化された金額はいくらかが
が一目でわかるのです。
「現金ならわからない」と考える方もいますが、
- 預金から大きな現金引き出しがあった
- 有価証券を売却し、金融機関に預けていない
- 不動産を売却し、金融機関に預けていない
こうした履歴があれば、税務署は現金があると推定し、調査が入る可能性が高まります。
【事例】現金化していた資産が発覚したケース
ある相続で、解約済みの口座を復元調査したところ、解約直前に1,500万円が現金で引き出されていた履歴が判明。
現金は手元に残っていないと主張しましたが、税務署は「不自然な資金移動がある」と判断し、現金があるものとして課税されました。
税務署の調査は「家族」も対象
税務署は、家族間の資金移動も徹底的に調査します。
- 家族全員の預金残高の推移
- 法人の口座から個人への資金移動
これらを一覧表にして分析し、「実質的な所有者は誰か」を見極めています。
まとめ:預金履歴は「消せない証拠」
- 解約済みの口座でも、10年分の履歴が復元可能
- 税務署は家族全員の口座まで調査できる
- 預金の増減を一覧表にして、資金の流れを把握している
「現金化すればわからない」「名義を変えれば問題ない」と考えるのは危険です。
税務署の調査は年々厳しく、広範囲に及んでいます。
「預金や現金化した財産が心配…」という方は、相続専門の税理士に相談し、適切な対策を講じましょう。
【無料相談受付中】
資金移動についてご心配やご不安がある方は是非ご相談ください。
無料相談のご予約・お問い合わせ
お電話でのお問い合わせ
(ソレイユ総合窓口となります)
0120-971-131
営業時間/平日9:00~20:00まで
※電話受付は17:30まで