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法定相続分をどう考えるか | 中小企業の相続対策相談室

法定相続分をどう考えるか

家族のトラブル回避

法定相続分の基本ルール

まず、法定相続分の基本ルールを押さえておきましょう。

【配偶者と子が相続人の場合】
 ・配偶者 1/2子
 ・1/2(複数の場合は均等に分割)

【配偶者と父母が相続人の場合】
 ・配偶者 2/3
 ・父母 1/3

【配偶者のみが相続人の場合】
 ・配偶者が全て取得

このように、配偶者は必ず相続分を有することが大きな特徴です。また、子がいる場合は子の人数で均等に分けるというルールも覚えておく必要があります。

法定相続分に基づく遺産分割の問題点

しかし、法定相続分通りの遺産分割が、必ずしも公平とは限りません。特に中小企業のオーナー家族の場合、次のような問題が生じがちです。

〈事例1:長男が後継者の場合〉
会社を承継する長男と、関与しない次男以下で単純に遺産を分割すると、会社の経営に支障をきたす可能性があります。
自社株式の過半数を長男に集中させるなど、柔軟な遺産分割が求められます。

〈事例2:遺産の大半が自社株式の場合〉
オーナー経営者の遺産の中心が自社株式だとします。法定相続分通りに分割すると、後継者以外の相続人が多数の株式を取得することになります。
株主間の対立で経営が不安定になるリスクを避けるためにも、株式の集約化が必要でしょう。

〈事例3:共働きの配偶者の貢献度〉
専業主婦の妻と、家業を支えてきた妻とでは、会社への貢献度が大きく異なります。
法定相続分は、こうした個別事情を考慮できないため、実情に合わない遺産分割になりかねません。

公平な遺産分割のために

法定相続分は、あくまでも法律で定められた最低限のルールに過ぎません。中小企業オーナー一族の実情に即した公平な遺産分割を実現するには、オーダーメイドの対応が欠かせません。

具体的には、以下のような対策が考えられます。
1. 遺言の活用
生前に、会社の事情や各相続人の事情を踏まえた遺言を残しておくことで、柔軟な遺産分割が可能になります。
自筆証書遺言や公正証書遺言など、状況に合わせた遺言の方式を選択することが大切です。

2. 家族信託の活用
生前に家族信託契約を締結して、自社株価を含む個人財産の管理を家族に信託しておくことで、経営者の認知症対策と遺産分割対策を契約しておくことができます。

3. 生前贈与の実施
将来の相続人に、計画的に財産を贈与しておくことで、相続財産を減らす方法です。
贈与税の非課税枠を活用しつつ、後継者への自社株式の集中などを進めておくことができます。

4. 事業承継対策の立案
自社株式の承継方法や、後継者以外の相続人の保護策など、会社と家族の事情を踏まえた総合的な事業承継対策が求められます。
株式の種類や議決権の設計、資産管理会社の活用など、様々な手法を検討する必要があります。

これらの対策を進めるには、専門家の知見が欠かせません。税理士や弁護士など、事業承継のプロフェッショナルに相談しながら、オーナー家族に最適な遺産分割プランを立案していくことが何より大切だと言えるでしょう。

法定相続分は、相続問題を考える上での出発点ではあります。しかし、中小企業オーナー一族にとって、それはゴールではありません。会社と家族の未来を守るためには、法定相続分に縛られない柔軟な発想と、計画的な対策の実行が求められるのです。

ご家族の実情に合わない法定相続分に違和感を覚えたら、ぜひ専門家に相談してみてください。中小企業相続対策専門相談室は、オーナー家族の円滑な遺産分割を全力でサポートいたします。会社を守り、家族の絆を守るために、私たちとともに一歩を踏み出してみませんか。