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上手に閉じるのも承継のうち | 中小企業の相続対策相談室

上手に閉じるのも承継のうち

事業承継の課題

「会社をたたむ勇気」――。
中小企業の事業承継を語る際、意外と忘れがちなのがこのテーマです。
「何としても会社を存続させたい」というのが、多くの経営者の本音だからかもしれません。
しかし、時代の変化と共に業界の構造は大きく変わります。
どんなに輝かしい歴史を誇る企業でも、「いつまでも発展し続ける」保証はどこにもないのです。
後継者難に悩む中小企業が増える中、「上手に閉じる」ことも、立派な事業承継の選択肢の一つだと言えるでしょう。

廃業は「敗北」ではない

「うちの代で廃業なんて、先代に申し訳ない」
多くの二代目、三代目経営者を悩ませるのが、こうした心理的なわだかまりです。
確かに、「会社をたたむ」決断は、親の代から引き継いできた家業(家)を絶やすことに等しいのかもしれません。
しかし、時代と共に産業のあり方は大きく変容を遂げています。
かつては地域経済を支えてきた産業も、グローバル化の波にさらされ、新興国の追い上げを受け、人口減少も相まって急速に衰退しつつあります。
そうした環境変化の中で、「会社を守りたい」一心で無理な存続を図ることは、かえってリスクを増幅させる恐れがあります。
むしろ、「時代の趨勢を見極める目」「時代に合わせて上手に身を引く企業」も現代の経営者に求められる資質のひとつだと言えるかもしれません。

廃業のメリットと留意点

では、廃業にはどのようなメリットがあるのでしょうか。廃業といっても、全部廃棄や一部廃業が考えられます。
代表的なものを挙げてみましょう。

メリット1:経営資源の有効活用
事業の一部を廃業する事で「ヒト・モノ・カネ・情報」といった経営資源を、他の事業に振り向けることができます。
特に人材については人手不足が慢性化している現在では戦略とも言えます。
ノウハウを持つ人材を、成長分野の事業に投入することで、新たな価値創造が期待できるでしょう。

メリット2:リスクからの解放
業績不振に苦しむ企業では、資金繰りや債務超過のリスクに日々晒されています。
計画的に廃業することで突発的か倒産リスクから従業員や家族を守る事につながります。
当事者のメンタルヘルスにもプラスの効果が期待できるはずです。

メリット3:再チャレンジの機会
「廃業=人生の終わり」ではありません。
むしろ、新しいことへの「再チャレンジの機会」と捉えることが大切です。
オーナー経営者が培ってきたスキルや人脈は、様々な分野で活かして暮らす方もいらっしゃいます。

廃業の留意点

一方で、廃業には以下の留意点もあります。

留意点1:利害関係者との調整
廃業は従業員や取引先など、様々な利害関係者への責任が伴います。特に従業員の雇用をどう守るかは、最優先で検討すべき課題になります。それだけに突発的倒産にならない計画が必要です。

留意点2:債務の処理
事業の清算には、相応の時間と手間がかかります。弁護士や税理士など、専門家の支援を受けながら、債務の適切な処理を進める必要があります。

留意点3:経営者と家族の生活
会社をたたむ事は、経営者にとっては多大な精神的な負担を強いる事になります。銀行債務も取引先の支払いも従業員の働き口も一定の責任を持たなくてはなりません。しかし、これらは一定の責任です…経営者が全責任を負わなければならないのは経営者の家族です。家族の暮らしや保証債務の履行を迫られる可能性がある家族…この全責任を負う家族の問題を考えて対策しておかないと他の対策にしっかり取り組めなくなるのが中小企業経営者です。

「廃業は選択肢の一つ」という考えは、まだまだ一般的とは言えません。
戦争でも負け戦の撤収を上手くやる事は難しいと言われています。
だからこそ、前向きに捉えて撤収を上手く計画する勇気が必要とされているのかもしれません。

中小企業相続対策専門相談室は、「廃業」という選択肢も含めて、オーナー経営者の決断をサポートいたします。