M&A?何を売るの?
「M&Aは、うちみたいな中小企業には縁遠い話だ」
多くの中小企業経営者が抱く感覚は、このようなものかもしれません。
確かに、M&A(合併・買収)は、大企業の経営戦略の花形とも言えます。
巨額の資金が動き、新聞をにぎわす派手なイメージがついて回るのも事実でしょう。
でも、ちょっと待ってください。
今や、中小企業の身近なところまで、M&Aの波が押し寄せているのです。
後継者難に悩む中小企業にとって、M&Aは有力な事業承継の選択肢の一つになりつつあります。
M&Aとは何か
そもそもM&Aとは、どのようなものでしょうか。
簡単に言えば、「会社を売る・買う」取引のことです。
もう少し具体的に見ていきましょう。
【合併】
2つ以上の会社が一つになること。
法的には、一方の会社が消滅し、もう一方の会社に吸収されるケースが一般的です。
【買収】
ある会社が、他の会社の株式や事業の全部または一部を取得すること。
経営権の移動を伴うのが特徴です。
中小企業の場合、「株式の譲渡」や「事業の譲渡」といった形でのM&Aが主流です。
会社をまるごと売る・買うのではなく、一部の事業や資産だけを切り出して取引するケースも少なくありません。
中小企業がM&Aを選ぶ理由
では、中小企業がM&Aを選ぶ理由は何でしょうか。
代表的なものを挙げてみましょう。
理由1:後継者難の解消
「うちを継ぐ人がいない」
業績低迷や魅力の欠如から、家族内外に後継者が見つからない中小企業は少なくありません。
M&Aによる第三者への承継は、有力な打開策の一つと言えるでしょう。
理由2:スケールメリットの追求
「もっと規模を大きくしたい」
販路拡大や原価低減など、規模の経済を求める中小企業にとって、M&Aは有効な手段です。
同業他社との水平統合や、取引先との垂直統合などによって、競争力の向上が期待できます。
理由3:事業ポートフォリオの最適化
「選択と集中を進めたい」
多角化に伴う非効率の解消や、本業回帰の一環として、不採算事業の切り離しを図るケースもあります。
得意分野に経営資源を集中させることで、企業価値の向上を目指すのです。
もちろん、M&Aにはデメリットもあります。
企業文化の違いから生じる軋轢や、統合作業の煩雑さなどは、避けて通れない課題と言えるでしょう。
それでも、事業の存続と発展のために、M&Aを選択する中小企業は確実に増えています。
「うちには関係ない」と言い切れる経営者は、もはや少数派になりつつあるのかもしれません。
「身売り」ではない、前向きなM&A
とはいえ、「M&A=身売り」というイメージを抱く経営者も少なくないはずです。
「苦し紛れの最終手段」という後ろ向きな認識が、M&Aへの踏み出しを躊躇させているのかもしれません。
しかし、前向きなM&Aの選択肢も、確かに存在します。
その代表例が、「オーナー企業の従業員による買収(EBO)」です。
EBOとは、オーナー経営者から従業員持株会などへ株式を譲渡することで、従業員が自社の経営権を取得する手法のこと。
経営と労働の一体化を通じて、従業員のモチベーション向上や、企業文化の継承を図ることができます。
事業の存続と雇用の維持を両立できるEBOは、中小企業のM&Aの新しい形として注目を集めています。
「誰に何を売るのか」自ら決められるのが、オーナー企業ならではの強みだと言えるでしょう。
M&Aは「最後の選択肢」ではない
かつて、M&Aは「どん底に落ちた企業の最後の選択肢」というイメージが強くありました。
しかし今や、先を見据えた経営戦略の一環として、M&Aに踏み切る中小企業は珍しくありません。
「待ちのM&A」から「攻めのM&A」へ。
その発想の転換こそが、中小企業の新たな成長の原動力になると期待されているのです。
もちろん、M&Aはリスクも伴う大きな決断です。
法務・税務・財務など、様々な側面からの慎重な検討が欠かせません。
専門家の知見を借りながら、腰を据えて向き合うことが何より大切だと言えるでしょう。
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「何を」「誰に」「どう」売るのか。
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「うちには関係ない」と思っていたM&Aが、思わぬ突破口になるかもしれません。
前例のない道のりだからこそ、専門家と二人三脚で進んでいく価値があるはずです。
中小企業のM&Aの新しい形を、一緒に切り拓いていきませんか。