会社の危機を招いた事前対策の不備

突然の現実 製造業を営んでいた父(65歳)の突然の他界
まだまだ現役で意気軒昂だった矢先の出来事
「おれはまだまだ若い」が口癖だった父
相続人は私(38歳・長男)と姉(40歳・医師)
会社の顧問税理士から呼び出され、説明を受ける。
「申し訳ありません。私は決算申告が専門で、相続については…」
相続税の概算額を示される:約5億円
戸惑いと混乱
税金の仕組みすら理解できない私たち
・自社株評価額12億円の意味が分からない
・なぜこんなに高額なのか理解できない
・会社の実態とかけ離れた評価に困惑
顧問税理士の告白
「実は3年前、相続対策の必要性は進言したのですが…」
「お父様は『まだ早い』『忙しい』と先送りに」
「私にも相続の専門的なノウハウがなく、強く勧められませんでした」
問題の深刻さに気づく
会社経営への影響
銀行は、父が個人保証を提供している借入金の取り扱いについて非常に慎重な姿勢を示しています。
その影響で、運転資金の新規借入を申し込む際にも支障をきたしている状況です。銀行側は既存の保証付き借入のリスクを考慮し、新たな融資を検討する際に慎重な判断を下すため、審査が厳しくなる傾向があります。このため、事業の資金繰りに影響が出ている現状です。
姉からの問い合わせ
「父の預貯金だけでは税金が払えないのでは?」
「会社の株は売却できるの?」
「工場の土地も相続税の対象なの?」
専門家との出会い
中小企業相続対策専門相談室を訪問した際、事業承継に関する厳しい現実を突きつけられました。専門家からは、以下のような重要な指摘がありました。
・「事業承継は数年かけて準備するもの」
・「相続の専門家に相談するのは50代からでも早くはない」
・「事業承継税制も2年前から準備が必要」
・「今からでは間に合わない制度がほとんど」
取り返しのつかない代償
父名義の不動産の一部を売却し、その資金をもとに、私個人で金融機関から借入を行いました。また、借入の返済資金を確保するために、会社から受け取る役員報酬を増額しました。この一連の対応により、事業資金の調達と返済計画を進めています。
その結果、以下のような課題が発生しています。
・会社の新規投資が困難に
・毎月の賃料支払いで利益が圧迫
・従業員の給与やボーナスにも影響
次世代への警鐘
相続税対策は、決算業務とは異なる専門性が必要です。
顧問税理士がいても、必ずしも十分とは限りません。また、対策には時間がかかります。
『まだ早い』『まだ大丈夫』という言葉が、取り返しのつかない事態を招くかもしれません。
経営者の皆様、相続の専門家に相談することが早すぎることはありません。
相続対策、事業承継対策は数年の時間をかけて、会社の未来を守る準備をしていただきたい。
それが、私たちの経験から得た教訓です。
経営者の皆様、相続の専門家に相談することが早すぎることはありません。
相続対策、事業承継対策は数年の時間をかけて、会社の未来を守る準備をしていただきたい。
それが、私たちの経験から得た教訓です。